アンチ・マネーロンダリング

近年、マネーロンダリング（資金洗浄）はますます深刻な問題となっています。金融機関および各国政府は、マネーロンダリングを防ぐための新たな方法を常に模索しており、この取り組みの一環として複数の資金洗浄対策（AML）ポリシーが導入されています。 

アンチ・マネーロンダリング（AML）とは ?

アンチ・マネーロンダリング（AML）とは、不正な資金を合法的な収入に見せかけようとする行為を発見・防止するための法律、規制、手続きの枠組みを指します。マネーロンダリングは、小規模な脱税や麻薬取引から、公的汚職、テロ組織への資金供与に至るまで、さまざまな犯罪を隠ぺいする目的で行われます。

資金洗浄対策（AML）の目的

資金洗浄対策（AML）の目的は、犯罪者が不正に得た資金を金融システムに流入させるのを防ぐことです。犯罪者は、犯罪によって得た資金の出所を隠すためにマネーロンダリングを行います。

• AMLの取り組みは、犯罪による利益を隠すことを困難にすることを目指しています。

• 犯罪者は、不正に得た資金を合法的な資金であるかのように見せかけるためにマネーロンダリングを行います。

• AML規制は、金融機関に対して高度な顧客確認（CDD：Customer Due Diligence）計画を策定し、マネーロンダリングのリスクを評価し、不審な取引を検出することを求めています。

Know Your Customer （ノー ユア カスタマー）

銀行にとってコンプライアンスは、新規顧客の身元確認から始まります。これは 「KYC（Know Your Customer／顧客確認）」 と呼ばれるプロセスです。顧客の身元を確認するだけでなく、銀行は顧客の活動の内容を把握し、預け入れられた資金が正当な出所であることを確認する必要があります。

KYCプロセスでは、銀行や証券会社が新規顧客を犯罪容疑者リスト、経済制裁対象の個人・企業、そして「重要な公的地位にある人物（PEP）」―外国の公務員、その家族や親密な関係者―と照合することも求められます。

マネーロンダリングは以下の段階に分けることができます：

• 不正に得た資金を金融システムに預け入れる段階

• 資金の不正な出所を隠すための取引（これを「レイヤリング」と呼ぶ）

• 洗浄された資金を使って不動産、金融商品、商業投資などを取得する段階

カスタマー・デュー・ディリジェンス（CDD）

カスタマー・デュー・ディリジェンスはKYCプロセスの重要な要素であり、たとえば見込み顧客が提供する情報が正確かつ正当なものであることを確認します。しかしこれは新規顧客だけでなく、既存の顧客やその取引にも継続的に適用されるプロセスです。

CDDでは、各顧客がもたらすマネーロンダリングのリスクを継続的に評価し、そのリスクベースのアプローチに基づいて、コンプライアンス上のリスクが高いと識別された顧客に対しては、より厳格な審査を実施します。これには、制裁リストや他のAMLリストに顧客が追加された場合の識別も含まれます。

CDDは、資金洗浄戦略（「レイヤリング」や「ストラクチャリング」、すなわち「スマーフィング」とも呼ばれる大口取引を小口に分割して報告義務を回避する手口）を検出することを目的としています。

金融機関は、書面によるAML（アンチ・マネーロンダリング）コンプライアンス方針を策定・実施することが求められています。この方針は、経営陣の一員によって文書で承認され、指定されたAMLコンプライアンス責任者の監督下に置かれなければなりません。これらのプログラムには、「継続的なCDDを実施するためのリスクベースの手順」および「疑わしい取引を識別・報告するための継続的なモニタリング」が明記されていなければなりません。

マネーロンダリング防止(AML)と金融活動作業部会(FATF)

アンチ・マネーロンダリング（AML）法は、金融活動作業部会（FATF）が創設された直後に国際的に登場しました。FATFは、ほとんどのAML基準を策定した機関であり、各国が従うべき枠組みを構築しました。この枠組みを導入した後、FATFはマネーロンダリングに関する適切な法律を持たない国を体系的に特定し始めました。この「名指しと恥さらし」の戦術は、各国に法制度の改正と、既に存在する規制の厳格な施行を促す効果がありました。

FATFに加えて、国連薬物犯罪事務所（UNODC）もマネーロンダリングの特定と阻止に積極的に取り組んでいます。

世界銀行もマネーロンダリングに関する情報を提供し、政府や民間企業がこの問題を終わらせるための多数の助言を行っています。

マネーロンダリングという犯罪

マネーロンダリングにはどのような手口があるか ?

マネーロンダラーは、仲間の現金収入のある事業を通じて不正資金を流したり、ペーパーカンパニーの取引で請求書の金額を水増ししたりします。レイヤリング取引とは、不正資金の出所を隠すための資金移動です。ストラクチャリング（またはスマーフィング）は、大口送金を報告義務やAML審査を回避するために小分けにする行為を指します。

マネーロンダリングを起訴する法的根拠は ?

マネーロンダリングは、「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律」第10条によって犯罪とされています。

マネーロンダリング犯罪と見なされるための主要な要素：

• 犯罪収益等の出所、取得または処分に関する事実を偽装すること

• 犯罪収益等を隠匿すること、など

• 犯罪収益等を利用して企業の株式や所有権を取得し、当該企業を支配し、取締役や他の経営陣を任命・解任したり、代表取締役や類似の役職を変更したりすること

脱税はマネーロンダリングの犯罪と見なされるか ?

確実に見なされます。脱税は法律上の犯罪です。

日本でマネーロンダリング犯罪の捜査および起訴を担当する機関は ?

警察庁および対象業界を監督する行政機関が、捜査および行政処分の権限を担っています。

その他の参考リンクおよび参考文献

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政府機関 :

• 財務省 - 日本におけるAML/CFT/CPF

• 金融庁(FSA)

• 犯罪収益移転防止対策室(JAFIC)

• 金融活動作業部会(FATF)

日本の法律および規制（金融関連）:

• 犯罪による収益の移転防止に関する法律（警察庁作成のポスター） (pdf)

• 犯罪による収益の移転防止に関する法律（警察庁作成のパンフレット） (pdf)